転職(就職)活動中は、人生をよりよくしようと頑張る期間。いわば、思考をキャリアに全振りしているとき。そんななかの妊娠は、誰もが不安になると思います。
この記事は、転職活動中に妊娠した私の経験にもとづいて、以下について書いています。
- 転職活動中に妊娠がわかったときの自身の対応
- 応募した会社に妊娠報告をしたときの会社の対応
- 周囲の反応にもとづく考察
- 当時から1年以上が経過した現在の心境
正直、この内容を世に出すのはだいぶ抵抗があり、葛藤しました。シビアなトピックで、色んな議論が飛び交うような分野だからです(転職活動中に妊娠が発覚した当時、情報収集をしようとしてSNSを見たときに、「計画性がない」というような心ない声を複数見かけて悲しくなりました)。
一方で、情報が少ないのが事実。本記事が役に立つかどうかは別として、転職活動中の妊娠で不安になっている方の心が少しでも軽くなればいいなと思っています。
それでは本題に入ります。
まずは、関係各所に速やかに報告
私は、妊娠の可能性がわかった時点で関係各所に相談・報告をしました。
当時の状況
私が「妊娠かも?」と思ったのは、妊娠週数でいうと3週半ば頃。妊娠初期も初期、妊娠超初期でした。転職活動のタイミングでいうと、数社に応募後、書類選考の結果は出きっていて、一次〜二次面接を受けている頃でした。
妊娠3週というと妊娠継続が不確定な時期であり、病院を受診して妊娠が確定する6週頃まで時間があります。かつ、妊娠検査薬が反応しないとされる時期。正直、少しの間「妊娠かも?」というのをスルーして転職活動を続けようかなとも思いました。
ただ、明らかに体調が普段とは違ったので、早々に妊娠検査薬を試したところ陽性判定。その時点で、正直に報告する一択だなと思いとどまりました。
転職エージェント経由と企業の採用サイトからの直接応募、2パターンで転職活動を進めていたので、まずは転職エージェントの担当の方に相談しました。
具体的に何を伝えたか
まず、メールでざっくりと状況を伝えて、その後電話で状況確認と今後のすり合わせを行いました。具体的な内容は以下です。
- 妊娠検査薬で陽性判定。妊娠の可能性がある
- 病院を受診して医師の確定が出るまでに3週間ほど時間がある
- 超初期なので妊娠が継続するかまだわからない
- 妊娠が継続しなかった場合、転職活動を続けたい
妊娠を周囲に伝えるタイミングは人それぞれで、いつまでに伝えなければいけないという義務はありません。それは転職活動をするうえでも同じこと。ただ、私の場合は、転職エージェントの担当の方や各社の人事の方など、複数の方に関わっていただきながら転職活動を進めていました。なので、わかった時点で伝えるのが、関わる人にとっても自分にとっても最適だと思いました。もし打ち明けるタイミングで悩んでいる方にも同じようにおすすめします。
謝罪は必要?
結論からいうと、私は相談の時点で謝罪をしました。けれど、「妊娠してごめんなさい」のような、妊娠の事実に対する謝罪ではありません。各所との調整を発生させてしまう、本来なら不要であろう心配をかけてしまう、などに対する謝罪です。
命が宿るのは奇跡であり、本来喜ばしいこと。けれど、当時は妊娠を素直に喜べず、戸惑いがまさりました。「今後の人生どうなるんだろう?」「私のキャリア……」のような不安もふつふつと湧いてきて、新しい命そっちのけで自分の心配をしている自分が嫌でした。それに転職エージェントの方や応募企業への申し訳なさみたいなものも加わって、普段めったに泣きませんが、一日泣きはらしてメソメソしていました。
今思うと、相手の温度感以上に過剰に気にしてしまっていたような気がします。妊娠が判明した直後に謝ってばかりいると、妊娠自体が悪いことのようにすら思えてきます。けど、決してそうではありませんよね。混同しないようにしたいものです。
転職活動継続を断念 その理由
色々考えた結果、自分の意思で転職活動をやめる選択をしました。理由は以下。
- 妊娠3週ですでに体調が悪く、転職活動や働くこととの両立が困難だと思ったから
- 入社直後に妊婦健診や体調不良で休む必要が出てくるから
- 妊婦の状態で新環境に飛び込むと、居心地の悪さを感じてしまいそうだと思ったから
3つ挙げましたが、1番目の体調の問題が大きいです。実はこの経験は、二人目妊娠時の話。自分にとって、妊娠している状態がいかに大変かを痛感していました。一人目妊娠時は出産直前まで具合が悪くて動けませんでしたし、実際二人目のときもそうでした。なので、結果論ですが、転職活動を断念して正解だったなと思っています。
妊娠報告の際の関係各所の反応と対応
転職活動を継続しないと決断した後に、転職エージェントの担当の方と応募企業に報告をしました。その際にいただいた反応を紹介します
転職エージェントの方の反応
当初は医師からの妊娠確定を待ってから転職活動をストップする予定でしたが、体調が急激に悪化したので早々に転職活動をやめる旨伝えました。
あらかじめ妊娠の可能性を相談していたので、その延長での報告という感じで、すんなり受け止めていただきました。祝福の言葉とともに、申し訳なさを感じる必要はないというふうに言っていただき本当にありがたかったです。さらに、出産後に転職活動を再開する場合は、またサポートするとまで言っていただきました。感謝しかありません。
転職エージェントを通して応募していた会社には、担当の方経由で選考辞退の旨を伝えていただきました。面接に関しては、近々で予定が決まっているものは受けてから辞退、日程調整中のものに関しては速やかに辞退という調整でした。
応募企業の反応
直接応募していた企業には、それまでやりとりしていた人事担当の方にメールで辞退の旨を伝えました。理由は妊娠によるものだと正直に伝えました。複数社ありましたが、どこもネガティブな感じではなく、温かい言葉でお返事をくださいました。
「また就職される際に興味を持っていただけたらぜひご応募ください」と言ってくださった会社もあり、包み隠さず正直に伝えてよかったなと思いました。
転職活動を継続する選択はあり得るか?
私は妊娠発覚後、転職活動を継続しないという選択をしましたが、自身の強い意思があるのなら継続してもいいのではないかと個人的には思います。
転職活動中の妊娠を調べたとき、以下のような声が多くありました。
- 内定が出る前に妊娠発覚
→ 転職活動をやめたほうがいい - 内定が出た後に妊娠発覚
→ 隠さずに伝えて交渉しよう - 在職中の転職活動で妊娠発覚
→ 退職時期を再考し、在職の方向で調整しよう
なんとなく方向性としてはわかります。妊娠が発覚したら転職活動は難しいというのが一般論かもしれませんが、経験にもとづく私個人の意見を以下にまとめます。
転職活動中に妊娠しても転職活動を続けてもいい理由
意見というとおこがましいですが、情報共有の意味で転職活動を続けていい理由をまとめます。妊婦である旨をきちんと会社に共有する前提で話をしています。
ダメな理由がない
そもそも、転職活動を継続するかしないかは個人の自由です。妊婦は転職活動をしたらいけないんでしょうか?応募者と企業、両方が合意のうえであれば何の問題もないですよね。
ただ、妊娠を機に退職して転職活動をする場合、失業手当(失業給付金)はもらえません。※受給期間を最長3年間延長する特例を受けられるので、期間内に再就職しようと思った場合は再度申請することができます。
実例がある
私は最初、転職活動を続けようと模索した際に、エージェントの方に妊娠中の転職の成功事例はあるのか聞きました。答えは「ある」でした。
もちろん難易度は高いです。妊娠の事実を伝えた時点で難色を示される場合もあるでしょう。けれど、即戦力になるケースだったり、人手不足の業界だったりなど、応募者と会社の条件が合えば可能性はありますよね。“今、この企業に入りたい”という強い気持ちがあるのなら、正直に気持ちを伝え、堂々と転職活動をしてもいいと思います。
ちなみに、当時私がSNSで調べた際、妊娠中に転職成功している方を2名見つけました。現在再び探そうとしても見つけられませんでしたが、どちらの方もセルフブランディングがしっかりしていて、個性のある方だった印象です。自分の強みをしっかり言語化できれば、可能性はあるのかなと感じました。
転職断念後 その後のキャリアの可能性
妊娠で転職活動をやめた場合、その後のキャリアは人それぞれ。以下のようなパターンが考えられると思います。
- 専業主婦 → 子育てに専念
- 専業主婦 → ブランクを経て再就職
- 専業主婦 → フリーランス
- 転職せずに現職 → 産休育休を経て現職継続
- 転職せずに現職 → 産休育休を経てその後転職
私の場合は、退職後の転職活動だったので、専業主婦になり、現在も専業主婦です。子育てに専念しつつ、子どもが寝ている間に前職と同じ職種の仕事を業務委託で受けてちょこちょことやっています。夫の出張が多く、在宅時も激務なので、今後どうしていくのかは検討中です。
【※2024年3月、1年半後の現在について書きました】
ちなみに、戸惑いや葛藤からはじまった妊娠で、妊娠中に悩むことも多々ありましたが、生まれた子どもはかわいいです。毎日スリスリしながら生活しています。
【おまけ】転職直後の産休育休制度について
労働基準法で定められ、出産するすべての人が取得できるのが産前・産後休業、いわゆる「産休」。対して、子育てのために仕事を休業できる育児休業制度「育休」は、取得に条件があり、転職直後だととれないケースも。
以下で「産休」「育休」について、簡単にまとめておきます。
産休はとれる
産前休業は出産予定日の6週間前から(※多胎妊娠の場合は14週間前)、産後休業は出産の翌日から8週間取得可能。希望があれば、産後6週間後から復帰も可能です。
産休は労働基準法で定められており、労働者の権利です。出産する人は転職直後に関わらずとることが可能です。
育休は就職先による
育児休業は、1歳未満の子どもがいる親が申請できる制度。女性は産後休業が終わった翌日から、男性は子どもが生まれた日から取得できます。期間は、両者、子どもが1歳になる誕生日の前日まで。
出産する人であれば誰でも取得可能な産休に対し、育休には条件をつけている会社が多いです。具体的には雇用(契約)から1年未満はとれないなど。詳細については、就業先や転職希望先に直接確認してくださいね。