大学に1200万円かかった娘が専業主婦 親はどう思ってる?

アイキャッチ画像 レポート

2021年4月、ネット掲示板「発言小町」に以下のような投稿が書き込まれ、盛り上がっていました。

旧帝大を出て大手企業で働いていたが、夫が海外赴任となり、仕事を辞めて専業主婦になった。帰国後、扶養内で働いているが、以前は学歴なりの仕事をしていたため、もっと難しいことがしたい。臨時雇いの軽作業パートは良い大学を出してくれた親に申し訳ない。そんな気持ちと子どもの母親としての思いとで板挟み。

「発言小町」という議論を呼ぶ場に投稿されたこともあり、上記の投稿にはさまざまな意見が寄せられています。「学歴なりの仕事とは」「そんな人いっぱいいる」「同じ境遇だ」「学歴は主婦にだって活かせる」など、本当にさまざま。

勉学にはげむ学生

私は現在専業主婦をしています。この投稿をはじめて見たとき、以前、大学の友人と似たような話をしたことがあったっけと、ふと思い出しました。その友人は、働きたい気持ちがあるものの家庭の事情で専業主婦をしています。いわば、私たちは似たもの同士。だからこそ、同じ温度感で話せたわけですが、内容はざっくり以下。

「大学で学んだことが今とリンクしていない気がするよね」。
「親に大学まで出してもらったのに、専業主婦でいいのだろうか?」。

ね?内容の方向性が似ていますよね。

ということで、「大学まで出したのに娘が専業主婦であることをどう思うか?」を、自分の親に聞いてみました。

【結論】親のものさしは人間的価値、自分は市場価値

手でハートをつくる様子

結論、どうも思っていませんでした。今が幸せであればそれでいい、と。

見出しにも書きましたが、あえて「価値」という言葉で表現すると、親が子どもを見るものさしは人間的価値なんだと思います。つまり、「生まれてきてくれただけで感謝。生きているだけで100点」というような。

対して、自分のベースにあったのは、市場価値でした。“1200万かけたのに(※詳細は後ほど)、生み出すお金が0”という発想をしている時点でそうですよね。

なので、自然と話の方向性がずれていくんです。

「親はどう思ってる?」を気にした理由

札束

私が専業主婦であることになんとなく後ろめたさを感じていた理由には、以下のような心理があります。

私は地方から東京の私立大学へ進学し、一人暮らしをしていました。そして、その4年間に学費を入れて少なくとも1200万円の費用がかかったことを知っています。

たった4年間で1200万円、それまでの養育過程も含めると、把握できないほどのお金をかけてもらっています。かつ、愛情と時間をかけて尽くしてもらっています。それに対して、「自分は今、何を返せているだろうか?」と思っていました。

さらには、親が教育熱心だったこともあり、親は私に期待をしていると思い込んでいました。もちろん、一定の期待はされていたと思います。が、それはおそらく親が私を子育てしていた時期の話で、過去のこと。「誰もが認める企業で偉くなってほしい」「社会を引っ張る存在であってほしい」のような市場価値的期待は微塵もなさそうです。

結局は自分の「プライド」に囚われているだけ

立派な剣

要するに、「大学を出たのに専業主婦でいいのだろうか」に引っかかっているのは自分だけ。自分の余計なプライドがモヤモヤを生み出しているということに、わりと最近、遅れて気づくことができました。

過去は過去、現在は現在であり、過去の選択があるから現在があるということを忘れないようにしたいものです。納得のいく人生を送れているのならそれでよくて、現在に納得がいっていないのなら考え方や行動を変える。いたってシンプルです。

そして、価値の捉え方は人それぞれ。世の中には“専業主婦を年収換算するといくらだ”という議論があふれています。そういう捉え方もありますが、それは、あくまでその視点での話。

専業主婦本人が何らかの理由で専業主婦を価値化する必要があるときは、市場価値ではなくて人間的価値や非地位財(※)的視点でとらえていきましょう(自戒を込めて)。

※非地位財:健康や愛情、快適な環境など、他人と比較せずに幸せが得られるもの。安心感や幸福感のために欠かせないこと。お金や物的資産、社会的地位の対照にある。

東大卒専業主婦に学ぶこと

自由の女神

人生に正解はないし、正解は自分でつくるものです。「自分が今専業主婦でいいのか?」というモヤモヤや、「本来私は働くべき人なのに」という縛りや思い込みを解消できるのは自分でしかありません。

私は高学歴ではありませんが、冒頭で紹介した「発言小町」の投稿者しかり、努力を続けてきた人が“身軽”になる選択をするのには、葛藤も多いはず。

東大卒専業主婦の方たちの思考がとてもおもしろかったので、以下に置いておきます。学歴やキャリアとの狭間で悩む専業主婦の方はぜひ読んでみてください。

高学歴女性は「正解」の追求をやめたとき、 キャリアを棄てる【東大卒専業主婦に出会う旅①】
https://www.elle.com/jp/culture/career/a35703721/tokyo-university-alumnae-high-potential-women-getting-into-full-time-homemaker-why-210308/

東大卒専業主婦は、「風の時代」のパイオニアか【東大卒専業主婦に出会う旅②】
https://www.elle.com/jp/culture/career/a35869810/tokyo-university-alumnae-high-potential-women-getting-into-full-time-homemaker-why-210319/

後半につれてだんだんと話が哲学めいてしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました